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今昔物語

ラーメンと鹿児島をこよなく愛した、先代こだわりの味

ラーメンと鹿児島をこよなく愛した、先代こだわりの味

昭和二十五年、こむらさきは現在の場所に小さな平屋で始まりました。女将と、三ヶ月だけの手伝いのつもりで厨房に入った台湾のラーメン職人王(オー)さん、そして親戚の娘が一人というスタートでした。
「こむらさき」という屋号は、江戸時代の売れっ子花魁の名前にあやかり商売繁盛を願ってつけられました。王さんは三ヶ月の約束が、やがて女将と結婚し、初代こむらさき主人として独特の味わいを確立。非常に勉強熱心で今では当たり前のような栄養学などを当時から取り入れていました。
例えばご飯を出さないのは炭水化物の採りすぎになるから、たくさんのキャベツは野菜で栄養のバランスをとるため、かんすいや防腐剤を使わない、などなど。よそにない味と珍しいオープンキッチン(当時はこんな呼び方はなかったでしょうね)というスタイルがお客様の評判を頂き、わずか三年で新装オープンの運びとなりました。
ちなみにラーメンは一杯五十円。映画館の入場料が八十円の時代です。結局先代は鹿児島に来てから一度もこの地を離れず、心から鹿児島を愛し、お客様を大切にし、こむらさきのラーメンの味を守り続けました。

創業当時から変わらない『味』『場所』『心意気』。

創業当時から変わらない『味』『場所』『心意気』。

昭和三十年代、お客様が増えるにつれ、住み込みで働く従業員も増えました。クーラーのない時代では、やはりラーメンは食べにくいもの。そこで八月の一ヶ月間を店休にし、従業員には里帰りをさせていました。それでも暑い時期には店内に氷柱を立て、大型扇風機を回して営業していました。
時代はめまぐるしく変わっていきましたが、こむらさきは何一つ変わっていません。長年培ってきた店の歴史はこむらさきだけでなくお客様と共に作り上げてきたものだと考えています。

味も場所も、そしてひとりひとりのお客様も、すべてのものがかけがえのない財産です。唯一変わったことを申し上げるなら、先代にかわって二代目がラーメンを作っていることぐらいでしょうか。しかし、二代目もまたラーメンに対する心意気は先代同様大変厳しいものです。舌が鈍るとスープの味が変わるため毎日の体調に気を付け、細麺の茹で時間に神経を使い、味に影響する盛り付けの手際の良さにも心を配っています。
そして現在、三代目が日夜修行中。こむらさきの味と歴史を変わらず受け継いでゆこうとしています。いつの時代も「美味しいラーメンを」ただそれだけにこだわって今日までまいりました。これからも、ブームに踊らされることなく、ここだけの味を作り続けます。

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